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会長声明・決議

死刑執行に対する会長声明

本年7月13日、大阪拘置所において1名、広島拘置所において1名、計2名の死刑が執行された。第2次安倍内閣において11回目(計19名)、金田勝年前法務大臣の就任中においては昨年11月以来2回目の執行であった。

今回執行されたうち、1名については再審請求を行っている中での死刑執行であり、他1名については第一審において死刑判決が下され、弁護人が控訴したが自ら控訴を取り下げ死刑判決が確定したうえでの死刑執行である。

刑事司法が、誤判のおそれと隣り合わせにあること、誤判の中には全くのえん罪のみならず、量刑を左右する重要な事実についての事実誤認も含まれること、死刑の犯罪抑止効果に疑問があること、国連から再三にわたって死刑廃止の勧告を受けていることなどを考え、当会は、昨年9月27日に開催された臨時総会において、死刑制度は廃止されるべきであるとの立場を明らかにしたところである。日本弁護士連合会も、死刑制度の重大な問題性や国際的な死刑廃止への潮流に鑑み、昨年10月7日に開催された人権擁護大会において、死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言を採択したところである。

上記決議や宣言等に反してなされた死刑執行は、当会として到底容認することができない。

また、我が国の刑事訴訟制度は、死刑が問題となる事件についても、裁判官(裁判員)の全員一致制、自動上訴制度、再審請求に対する国選弁護制度といった、特別な手続きが用意されておらず、生命剥奪という究極の刑罰に対する手続保障が不十分である。その点でも、今回の死刑を執行した法務大臣の判断は批判を免れない。

当会は、日本弁護士連合会とともに、政府に対し、国民の議論を深めるため、執行対象者の選定基準、手続き、執行方法など死刑に関する詳細な情報を公開すること、仮釈放の要件を加重した重無期刑の導入など、死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体を改革すること、上記のとおり死刑が問題となる事件における手続保障を充実させること、これらが実現するまでの間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)を制定するなどして死刑の執行を停止することを改めて要望するものである。

2017(平成29)年8月10日

滋賀弁護士会
会長 佐口 裕之