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会長声明・決議

少年の実名及び顔写真を掲載した報道についての会長声明

本年4月11日に彦根市で発生した警察官射殺事件について、一部の週刊誌が、少年である被疑者の実名及び顔写真を掲載した。

これは、少年が成長途中の未成熟な存在であることに鑑み、その健全な育成を期すため、犯行時少年であった者について「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」との規定(少年法第61条)を置く少年法の趣旨に反するものである。

今回、警察は、殺人事件の被疑者である少年がけん銃を所持して逃走中であったという緊急性・特殊性に鑑み、少年の実名及び顔写真を公開した。そして、一部の報道機関はこれらを公開した報道を行った。

確かに、被疑者である少年が逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合等には実名及び写真の掲載が許容されるという報道機関の見解もある。

しかしながら、今回、実名及び顔写真を掲載した週刊誌は、少年が逮捕されて上記緊急性・特殊性がなくなったにもかかわらず発行されたものである。

このような報道は、仮に実名及び写真の掲載が許容される場合がありうるとの上記見解に立ったとしても許容できると解する余地はなく、少年法第61条の趣旨に反することは明白である。

当会は、一部週刊誌が実名及び顔写真を掲載した今回の報道に抗議するとともに、報道機関に対しては、今後とも少年法の趣旨を尊重した対応をとるよう求めるものである。

以上
2018(平成30)年5月16日

滋賀弁護士会
会長 片山 聡