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会長声明・決議

死刑の執行に抗議し、死刑制度の廃止を求める会長声明

2018(平成30)年12月27日、2名の確定死刑囚に対して死刑が執行された。第2次安倍内閣においては、実に36名に対して死刑が執行されたことになる。

当会は、2016(平成28)年9月の臨時総会において「死刑廃止を求める決議」を採択した。また、日本弁護士連合会も、同年10月の人権擁護大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択した。

それにも関わらず、死刑執行が繰り返されたことは誠に遺憾である。

今回死刑が執行された者のうちの1名は再審請求中であり、2017(平成29)年7月13日以降の執行において、再審請求中の者に対する執行が続いていることは、再審制度の趣旨をないがしろにする極めて重大な問題である。

我が国においても、過去に4件の死刑確定事件において再審無罪が確定しているという事実は、誤判・冤罪のおそれが具体的・現実的に存在していることを示している。仮に再審請求中の者が冤罪であった場合、生命を奪う死刑執行は取り返しがつかないのであり、このようなことは絶対に回避しなくてはならない。

死刑の犯罪抑止効果に疑問があること、国連から再三にわたって死刑廃止の勧告を受けていることなども勘案すれば、死刑制度は存続されるべきではない。

そもそも、刑罰の目的は、罪を犯した人を社会から排除することにあるのではなく、更生を期待し、社会復帰を達成させることにあるはずである。私たちが目指すべきは、罪を犯した人の更生の道を完全に閉ざすことなく、すべての人が尊厳を持って共生できる社会である。

死刑制度は、罪を犯した者を社会から永久に排除する刑罰であり、このような刑罰の目的や、我々が目指すべき社会の理念と相容れないものである。

よって、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、直ちに死刑執行を停止した上で、死刑に関する詳細な情報を公開し、死刑制度の廃止について全社会的議論を深め、すみやかに死刑制度を廃止することを重ねて求めるものである。

2019(平成31)年1月17日

滋賀弁護士会
会長 片山 聡