会長声明・決議
滋賀県警察における証拠品等の更なる放置が判明したことを受け、第三者による検証ならびに捜査記録及び証拠の管理に関する法制度の整備を求める会長声明
滋賀県警察は、2026(令和8)年8月27日、県内8警察署及び県警本部の5部署において、事件の証拠品等623点が適切に管理されないまま放置されていたことを発表した。報道によれば、改造拳銃やDNA型鑑定資料等が含まれ、いずれも管理簿に記載されていなかった。623点のうち事件を特定できたのは228点にとどまり、殺人事件に関係する証拠品も含まれていたという。
滋賀県警察では、2024(令和6)年11月にも県内7警察署で3829点の証拠品等の放置が判明し、そのうち2241点はいずれの事件の証拠品等か判明しなかった。当会は、2025(令和7)年3月14日付け会長声明において、第三者委員会による原因究明と、組織的・実効的な再発防止策の策定・公表を求めた。しかし、今回の623点は、2024(令和6)年の問題発覚後に実施された一斉点検でも見落とされていた。この見落としの事実は、滋賀県警察内部による点検・検証のみでは、証拠品等の管理状況を十分に把握し、その原因を実効的に究明することができないのではないかという重大な疑問を生じさせるものである。
そもそも、刑事訴訟法第246条は、司法警察員が犯罪の捜査をしたときは、同法に特別の定めがある場合等を除き、速やかに書類及び「証拠物」とともに事件を検察官に送致しなければならないと定めている。
したがって、本件は単に警察内部における証拠品等の保管・管理が適切に行われていなかったという問題にとどまらない。本来検察官に送致されるべき証拠品等が含まれていたのであれば、なぜ送致されず警察内部に長期間残されていたのかという捜査及び事件送致の在り方に関わる根本的な問題を含んでいる。
とりわけ、今回発見された623点が管理簿に記載されず、その多くについて事件との対応関係さえ特定できなくなっていたことは重大である。事件との対応関係が失われれば、検察官に送致されるべき証拠であったか否かの検証も困難となる。仮に、送致されなかった証拠品等の中に、被疑者又は被告人の嫌疑を晴らすような証拠が含まれていたとすれば、検察官がその存在を知らないまま起訴・不起訴を判断し、裁判においてもその証拠が顕出されないこととなり、えん罪を生じさせる原因となり得る。
日本弁護士連合会は、2014(平成26)年5月8日付け「犯罪捜査の記録に関する法律の制定を求める意見書」において、捜査機関による記録の作成や管理に問題があった事例を指摘した上で、捜査の過程で作成又は入手した記録及び証拠について、その存在を漏れなく把握するための一覧表を作成し、適正に保管するとともに、検察官への事件送致後に作成又は入手した証拠についても、一覧表とともに検察官へ送致する制度の整備を提言している。今回の事態は、内部規則や組織内部の運用だけではなく、証拠の取得、一覧化、保管及び検察官への送致を一貫して制度的に保障する必要性を改めて示すものである。
そこで、当会は、滋賀県警察本部に対し、今回新たに多数の証拠品等の放置が判明し、2024(令和6)年の問題発覚後の一斉点検でもこれらを発見できなかったことについて改めて厳重に抗議する。そして、2024(令和6)年発覚の問題及び今回発覚した問題を一体として、滋賀県警察から独立した第三者による検証を実施し、証拠品等が適切に保管・管理、送致されなかった原因及び一斉点検で見落とされた原因を徹底して究明し、その結果を公表することを求める。
さらに、国に対し、日本弁護士連合会の前記意見書の趣旨を踏まえ、捜査機関が捜査の過程で作成又は入手した記録及び証拠を漏れなく一覧化して適正に保管し、本来検察官に送致されるべきものが確実に送致されることを保障する法制度を速やかに整備するよう求める。
2026(令和8)年10月20日
滋賀弁護士会
会長 遠藤 大輔







