会長声明・決議
高金利引き下げに関する会長声明
出資法の上限金利規制の見直し時期が来年早々に迫っていることもあり,最近,貸金業界は,金利規制の緩和を求める動きを見せている。
しかしながら,多重債務問題は,今なお深刻な状態にあり,到底,金利規制を緩和すべき社会状況にはない。破産者は年間約20万人,経済苦・生活苦による自殺者は年間8,000人にも達している。高金利とこれに起因する多重債務問題は,経済的に困窮する市民の人権にも関わる社会問題である。
昨年末から本年初めにかけて,最高裁判所は,貸金業の規制等に関する法律43条について,きわめて厳格な解釈を示す判断を下した。
利息制限法は,年利15%ないし20%を越える金利の定めを無効としている。にもかわらず,貸金業者は,未だに,これを越える金利で営業を行っている。そのよりどころとなっていたのが,貸金業規制法43条であった。 今般の最高裁の判断は,高金利を容認し助長するみなし弁済規定に強力な枠をはめたものであり,この問題に対する司法府の態度を明らかにした,きわめて重要な意義を有するものである。
当会は,これらの最高裁判決を歓迎するとともに,貸金業界に対し,業務の適正を図ることを求める。また,政府,国会に対しても,出資法の上限金利を,少なくとも,利息制限法の水準にまで引き下げ,いわゆるグレーゾーン金利の廃止を実現することを強く求める。
2006(平成18)年3月6日
滋賀弁護士会 会長 生駒英司