会長声明・決議
上限金利引き下げについての緊急声明
現在、貸金業制度及び出資法の上限金利の見直しについて、来年の法改正に向けて法案の検討が進められている。
金融庁貸金業制度等に関する懇談会において、一旦は、いわゆるグレーゾーン金利を廃止したうえで上限金利を利息制限法にそろえるのが委員の意見の大勢であることが明示されたが(平成18年4月21日)、その後、金融庁がグレーゾーン金利を一定期間存続させる旨の暫定的措置や少額短期の融資に対する特例を認める案を与党に提示し(同年9月5日)、与党が一部暫定的措置を認め更に利息制限法の金利区分を変更する独自案をまとめる(同年9月19日)などの動きがある。
しかし、そもそも今回の法改正の目的は、最高裁判所が貸金業規制法43条(グレーゾーン金利)を極めて厳格に解釈して利息制限法による債務者救済を図る判決を相次いで示したことを踏まえ、深刻な多重債務問題を解決するために行うためのものである。にも関わらず、上記のようにグレーゾーン金利を暫定的にでも存続させたり、利息制限法の制限を超える特例を認めたり、また利息制限法の金額刻みを変更したりすることは、上記法改正の目的を無視する本末転倒なものであるとともに、高金利の引き下げを求める国民の声に逆行するものである。とりわけ、利息制限法の金利区分を変更する案は、実質的には利息制限法の制限利率の引き上げにほかならず、今回の法改正の目的に明らかに逆行するものである。
当会は、改めて政府及び国会に対し、グレーゾーン金利の即時撤廃、出資法上限金利の利息制限法金利への例外なき引き下げ、現行利息制限法の金利区分の維持を強く要請するものである。
2006(平成18)年 10月13日
滋賀弁護士会 会長 羽座岡広宣