会長声明・決議
非弁活動を行う一部行政書士に関するご注意
最近、一部の行政書士に、「法務相談」等と称して、法律相談を行い、さらに報酬を得て代理人となり、交通事故に関する損害賠償請求事件、離婚事件・遺産分割事件等の争いのある事件の処理に関わるケースが見られます。
行政書士の業務は、基本的には官公署に提出する書類等の書類作成となっております。相談に応じる場合でも書類作成についての相談に限定されています。当然ながら、訴訟、調停申立の代理人となることは出来ませんし、当事者間に争いのある事件に代理人として関与し、相手方と交渉等を行うことも許されてはおりません(注1)。
一部行政書士による、代理人としての業務遂行は、依頼者にとって、適切な法的サービスを受けることが出来ない結果となり、大きな損害を被る可能性も大きいと言わざるを得ません。また、行政書士によるこのような法律事務の取扱は、弁護士の法律事務独占を定めた弁護士法(注2)に反し、刑事処分の対象ともされています。
県民の皆様には、このような非弁活動を行う一部行政書士にご注意のうえ、くれぐれも依頼をされることのないようお気を付け下さい。
【注1】行政書士法は、行政書士の業務について、(1)官公署に提出する書類その他権利義務または事実関係に関する書類作成(行政書士法第1条の2)、(2)第1条の2により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続についての代理(同法第1条の3第1号)、(3)第1条の2により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること(同法第1条の3第2号)、(4)第1条の2により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応じること(同法第1条の3第1号)としています。
【注2】弁護士法72条においては、弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを業とすることは、弁護士法又は他の法律に別段の定めがない限り、出来ないとしており、これに反した場合、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処するとしています(同法77条)。
2006(平成18)年 10月13日