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会長声明・決議

改正貸金業法等の早期完全施行等を求める会長声明

2006年12月、深刻化する多重債務問題の解決のため、上限金利の引き下げ、利息制限法上限金利を超える利率での貸付の禁止、収入の3分の1を超える過剰貸付の禁止(総量規制)などを柱とした改正貸金業法等(改正出資法等含む)が成立しました。そして、同法等が完全施行される時期は2009年12月から2010年6月までとされています。

今般、貸金業界、メディア関係や国会議員の一部などから、今回の法改正により資金調達を制限された中小企業や個人の経済的破綻が増加しているなどとして、改正法に完全施行前の見直し条項(付則67条)が付されていることを根拠に、改正貸金業法等の完全施行の先送り、金利規制の見直しなどの主張がなされています。そして、政府が完全施行の是非について検討に入ったとの報道もなされているところです。

しかし、バブル経済崩壊後の長引く不況や貸金業者に対する規制の不十分さから多重債務問題が深刻化し、1998年には年間自己破産件数が10万件を超え、2003年をピークに現在は漸減傾向にあるものの、2008年も約14万件と依然高水準にあります。また、自殺者数も1998年に年間3万人を超え、現在もまったく減少する兆候がありません。自殺原因の上位に挙げられる「経済・生活問題」は多重債務問題と決して無関係ではありません。

改正貸金業法等の完全施行の先延ばしや貸金業者に対する規制の緩和は、再び多重債務問題の深刻化を招きかねず、到底許されることではありません。

政府は上記改正法等の成立後、多重債務対策本部を設置し、1.多重債務相談窓口の拡充 2.セーフティネット貸付の充実 3.ヤミ金融の撲滅 4.金融経済教育を柱とする多重債務問題対策に取り組み、当会も、多重債務相談の無料化、自治体主催の多重債務相談への弁護士の派遣、自治体との連携体制の構築等により、この問題に取り組んできました。このような官民の連携により、多重債務者数は確実に減少しており、着実にその成果を上げつつあるのであり、今求められているのは、改正貸金業法等の早期完全施行に他なりません。そして、より一層多重債務問題対策に取り組むべきです。

そこで、当会は、以下の施策を強く要望します
  1. 改正貸金業法等を早期に完全施行すること
  2. 自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること
  3. 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること
  4. ヤミ金融を撲滅するための施策を徹底すること
2009年(平成21年)11月16日

滋賀弁護士会 会長 平井 建志